多焦点眼内レンズとは
眼内レンズは1949年に誕生し、医療機器や手術手技の進歩とともに改良されてきました。多焦点眼内レンズは、1990年中頃に登場しましたが、初期モデルでは十分満足できる見え方にはなりませんでした。その後、現在に至るまで様々なタイプの多焦点眼内レンズが開発され、選択肢が増えています。
日本で厚生労働省の承認を受けている多焦点眼内レンズは、主に手元と遠くの2か所にピントが合うもの(2焦点)、手元・中間・遠くの3か所にピントが合うもの(3焦点)、ピントが合う範囲が少し広くなったもの(焦点拡張型、Extended Depth of Focus : EDOF)があります。どれが一番優れているということではなく、生活スタイルや仕事によって合うものが異なります。手元・中間・遠くのどの距離を優先するのか、一定の距離が鮮明な方がよいのか、ぼやけが少しあっても広い範囲が見えた方がよいのか、など、様々な観点からじっくり考えて最適なレンズの種類を選択することが大切です。
当院で使用している選定療養の多焦点眼内レンズ
レンズ外観 | ||||||
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レンズ名称 | クラレオン パンオプティクス Clareon PanOptix |
クラレオン パンオプティクス オートノミー Clareon PanOptix AutonoMe |
テクニス シナジー TECNIS Synergy |
ファインビジョン エイチピー FINEVISION HP |
クラレオンビビティ Clareon Vivity |
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構造・タイプ | 回折型 3焦点 | 回折型 3焦点 | 焦点深度拡張型 | 回折型 3焦点 | 焦点深度拡張型 | |
焦点距離 | 遠・中・近 | 遠・中・近 | 遠・中・近 | 遠・中・近 | 遠・中 | |
日中の運転 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
夜間の運転 | △~〇 | △~〇 | △~〇 | △~〇 | 〇 | |
パソコン作業 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
読書 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | |
ハロー・グレア | あり | あり | あり | あり | 軽度 | |
乱視矯正 | 可能 | 可能 | 可能 | なし | なし | |
価格 | 乱視なし | 27万円 | 27万円 | 27万円 | 27万円 | 27万円 |
乱視あり | 29万円 | 29万円 | 29万円 | - | - |
- 多焦点眼内レンズの種類により、見やすくなる距離や特徴が異なります。どのレンズを選択するかは、担当医と十分相談し決定します。
- 費用(選定療養費)は税込価格で、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの代金の差額、手術前後の追加検査の代金と手術前の説明手数料です。
選定療養とは
選定療養とは、保険適用外の治療の追加費用を自己負担し、保険適用の治療と併せて受けることができる制度です。白内障手術では、手術代金が保険適用となり、選択した多焦点眼内レンズによって必要な検査費用、眼内レンズ代金が自己負担となります。ご不明な方は当院のスタッフまでお気軽にご質問ください。
多焦点眼内レンズの注意点
手術直後からよく見えるとは限りません。見え方に慣れるのに数か月程度時間がかかる場合もあります。とても小さな字を読むときや、薄暗いところで文字を読むときはメガネが必要になる可能性があります。
多焦点眼内レンズは、単焦点眼内レンズに比べてハロー(光に輪がかかって見える現象)、グレア(眩しく感じる現象)やコントラスト感度(くっきり、はっきりする見え方)の低下が起こりやすくなります。これらの感じ方は個人差がありますが、時間と共に軽快し、気にならなくなる方も多いです。